腎動脈超音波検査

腎臓は背中側の腰の高さにあり、そら豆のような形をしていて、大きさがにぎりこぶしくらいの左右一対の臓器です。血液中の老廃物をろ過し、尿として排泄する働きをしています。また尿の量を調節して、血液の濃度や、組成を一定に保つ働きがあります。

さらに腎臓は、血圧を調整したり、赤血球の生成を促したり、カルシウム吸収の調整をするなどさまざまな働きをしている臓器なのです。

この腎臓に流れる血管(腎動脈)に血管が狭くなっている・血液の流れが悪くなっている部位(狭窄)があると、ホルモン系の異常を招き、血圧が高くなってしまいます。そのまま放置しておくと、高血圧だけではなく、腎機能も障害して腎不全を引き起こします。

高血圧患者さんのなかで腎動脈狭窄がある患者さんはおよそ1割存在するといわれています(腎血管性高血圧といいます)。

↑上のように超音波検査にて腎動脈狭窄症の有無を診断することができます。

◎高血圧患者さんで、数種類の血圧を下げるお薬を飲んでいるのにもかかわらず、血圧がなかなか下がらない・安定しないという患者さんは、一度この検査を受けてみられることをおすすめします。
◎また、若年者の方で血圧だけが高いと指摘されている方の中には、線維筋性異形成や大動脈炎症候群といった病気により腎動脈が狭窄し高血圧が生じている可能性もあり、そのような若年高血圧症の患者さんも一度この検査を受けてみられることをおすすめします。

*線維筋性異形成
動脈の壁を作っている線維筋がうまく作られないために動脈の壁が弱くなり、血管の内側に瘤などができて血液の流れが悪くなる病気です。主に腎臓、脳の動脈で起こるため、腎血管性高血圧にもなりやすいのです。成人では20~40代の女性に多くみられます。

*大動脈炎症候群
太い血管(大動脈)に炎症が起こることで、血管内が狭くなる病気です。原因は不明で、若い女性に多いのが特徴の一つです。この炎症は、体のあちこちの血管で起こるため、それが腎臓の動脈に及ぶと、腎血管性高血圧症をひき起こします。