内分泌外科

甲状腺・副甲状腺の治療



甲状腺

1)機能について
甲状腺は気管の前で蝶々のような形をしていて正常では触れません。新陳代謝を盛んにする働きがある甲状腺ホルモンが分泌されており、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)の2種類があります。

2)疾患について
最も多いのが橋本病(慢性甲状腺炎→甲状腺機能低下症)であり、ついで甲状腺腫瘍、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)などがあります。甲状腺の病気は圧倒的に女性に多く約90%を占めています。また比較的若い人に発症する傾向があります。

3)診断について
触診・血液検査(FT3, FT4, TSH, TgAb, TPOAb, TRAb, TSAb, Tg, CEA, カルシトニン)・超音波検査・穿刺吸引細胞診(FNA)が中心となり、1~2回の外来検査でほぼ治療方針が決まります。

4)手術について
対象となるのは、甲状腺腫瘍(良性,悪性)、バセドウ病、橋本病などです。悪性腫瘍は、80~90%が予後良好な乳頭癌です(10年生存率約95%)。

良性腫瘍の手術適応としては、以下の通りです。
①3cm以上
②増大傾向
③有症状(圧迫、嚥下困難、呼吸困難、嗄声など)
④美容的問題
⑤悪性が否定できない
⑥機能性結節

バセドウ病の手術適応としては、以下の通りです。
①内服治療抵抗性
②内服薬の副作用
③著明な甲状腺腫大
④悪性腫瘍の合併
⑤早期の確実な寛解を期待する

入院期間は悪性・良性を問わず、1週間前後となります。

副甲状腺

1)機能について
 副甲状腺は甲状腺の後ろに左右2個ずつ計4個ある米粒の半分くらいの大きさの臓器です。ホルモンを分泌して、ビタミンDと共に、カルシウム(Ca)を骨から血液中に送り出したり、腎臓や腸から吸収したりして、血液中のCa濃度を上昇させる働きをします。

2)疾患について
 副甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態を副甲状腺機能亢進症といい、原発性(腺腫などの腫瘍や過形成)と二次性(くる病、ビタミンD欠乏症、慢性腎不全、血液透析)に分類されます。典型的な症状としては、①骨病変(骨が脆くなり骨折しやすくなる,関節痛)、②尿路結石(腎結石)、③高Ca血症(頭痛、口喝、吐き気、食欲低下、便秘、易疲労感、筋力低下、焦燥感)があります。

3)診断について
 血液検査(Ca,intact-PTH)・尿検査(Ca)・超音波検査・アイソトープ検査(副甲状腺シンチグラフィー)・頚部CT検査などを行います。

4)手術について
治療は手術が一番いい方法で、腫大した副甲状腺を摘出するだけで劇的に良くなります。4腺全部摘出してその一部を自家移植するのが標準手術です。当院でも血液透析を行なっているので手術適応例に行なっています。入院期間も甲状腺の場合と同様で1週間前後です。