当院では、通院しながら化学療法を受けておられる方が安全、快適に治療を受けられるために平成17年4月1日より外来化学療法室を開設しました。
近年、癌の罹患率の上昇に伴い、癌化学療法を受ける患者さんは増加しています。抗癌剤といえば、従来は嘔気などの副作用が強く、そのため経口摂取ができず長期の入院を余儀なくされておりましたが、副作用を軽減する薬剤の開発や投与方法の工夫などにより、有害事象をできるだけ抑えることが可能となってきました。また、在院日数の短縮による入院費の抑制、患者さんの利便性、生活の質を保ちながら治療を継続することへの要望などにより、化学療法は入院治療から外来治療へとその中心は移行してきております。
当院でも数年前より外来での化学療法を行っておりましたが、外来の看護師が外来業務の傍ら、抗癌剤を調剤し、外来のベッドで点滴を行っておりました。今回、外来での化学療法を受ける患者さんが増加することに対し、1番には安全に行うこと、そして、点滴中にできるだけ快適に過ごしてもらうようにすることなどを目的に外来化学療法室を設置しました。専用のベッドを5台設置し、専任の看護師1名を置き、それぞれのベッドにテーブル、テレビ(無料)を設置し、飲食なども自由に行ってもらうようにしました。また、完全予約制とし、できるだけ待ち時間がないようにするため、検査、診察、点滴がスムーズに行われるように医事、検査室、薬剤部などの協力を得て行っております。その後、利用者の増加により、ベッド数を8台に増やしております。
癌患者さんにおいては、手術だけでなく、その後の再発に対する不安の除去、きめ細かい
フォローアップが大切であることは、言うまでもありません。肺癌に対しては、新規抗癌剤は従来の抗癌剤に比較して、その効果は高まっております。2004年のASCO(米国臨床腫瘍学会)でも肺癌に対する術後補助療法の有効性が示され、現在、標準治療となっております。患者さんの生活の質を保ちながら行う外来化学療法は今後も増加していくものと思われます。我々は、地域住民の方がEBM(科学的根拠に基づいた治療)に基づいた治療を受けられるよう努力していく所存であります。
外来化学療法の患者さん用のパンフレットを看護師を中心に作り、患者さんに配布しております。
副作用などについて、できるだけわかりやすく書いてあり、好評です。