[病態]
肺に穴が開き、そこから空気がもれる事により肺がしぼんでしまいます。この状態を気胸といいます。原因としては、嚢胞の破裂、外傷などがあります。肺に基礎疾患を持たないものを自然気胸といい、ほとんどが肺嚢胞の破裂によって発生します。
[治療方法]
1.胸腔ドレナージ
胸壁に管を挿入し、肺からもれた空気を外に出します。そうすることによって、肺はまた膨らみ、穴 は3-4日で自然に閉じます。局所麻酔でできますが、再発率が約50%と言われております。
2.手術(胸腔鏡下肺嚢胞切除術)
(1)胸腔ドレナージで治癒しないもの
(2)再発を繰り返すもの
(3)CTなどで明らかなブラが存在するもの
(4)社会的適応(受験を控えている、長期海外出張)
などの場合、手術療法を勧めております。
手術療法では気胸の原因となっているブラを切除したり、縫縮したりします。以前は開胸手術でありましたが、近年、胸腔鏡下の手術が増加しております。
胸腔鏡下の手術が導入された当初、術後の再発率が、開胸手術の約5%に比べ、約10%あり問題視されておりました。その原因については、肺嚢胞の見落とし、機械によって縫合閉鎖するので胸膜に過度の緊張がかかり切離部位に肺嚢胞が新生することなどが挙げられております。最近では様々な工夫が施され、再発率は約5%と言われております。
当院では肺嚢胞を切離した部位にネオベールシートという吸収性の胸膜補強材を貼付し再発を防いでおります。胸腔鏡下の手術の場合、術後疼痛も少なく、術後約3-4日ほどで退院できます。